この世にあまた存在するyoutubeチャンネル、その中で唯一欠かさず全部見ている「オモコロチャンネル」がTwitterで「この一年間で一番好きなオモコロチャンネルの動画をひとつ教えてください。【対象期間】2023年12月〜2024年11月公開分」としてアンケートを行っていた。ひとつには絞れない、という声を見かけたように私も選ぶのは難しかった。というのも、動画がバラエティに富んでいるからである。ココイチでどのカレーを、ミスドでどのドーナツが好きか選ぶのとは違って、和食も洋食もあるガストやロイホで一番好きなのを選べ、と言われているのに等しい。これはオモコロチャンネルに限らず、長く更新しているyoutuberならどこでもありそうな現象である。
nikki_20220721「オモコロチャンネルの好きな回 その1」 - 遺失物取扱所
nikki_20221014「ここ2日のオモコロチャンネル雑感」 - 遺失物取扱所
欠かさず見ているにもかかわらずあまりしっかり言及したことは少ない。これもオモチャンに限った話ではなく、誰しも欠かさないレベルで見てるけど訊かれたら答えるくらいの温度感のコンテンツはあるはずだ。ともあれあまりちゃんと感想を書くことは少ないので、対象期間の動画内からひとつには選べなかったなという思いをつらつら書こうと思う。ランキング付けもせず、あれもあったなこれもあったなという文章になる。古い順、重くなるのでurlなしでタイトルだけ貼ります。
「【感覚会議】アルファベット26文字が持ってそうな『特殊能力』が決定しました」
慣れ親しんだ事物に対して架空の設定を作るタイプの企画。この雑談系はけっこう好き。対象の中だと「「イヤな言葉」だけ集めて最悪の50音表を作ろう!」「【緊急会議】「お寿司が働く会社」があった場合の組織図を考える」「【大激論】もしも「野菜のRPG」があったら?本気で配役を決めようぜ!」あたりもよい。
欠かさず見ているとはいっても、繰り返し見てるとかは実はないので作業用に流すとかもない。この動画も1回しか見ていない。ただ他人が抽象的な感覚(特に言葉)について話しているのが好きで、自分もそういう場で話すのが好きである。だから短歌の歌会とかも好きだったりする。
この系統だと最高の年末年始や動物の名字も該当するけれど上にあげたものとは少し違って、それは長さである。上にあげた動画群はだいたい40分近くある。いや、最高の年末年始は30分あるという指摘もできるかもしれない。つまり長さは結果である。上にあげたものにあるのは、架空の設定でひとつの世界が練り上げられていく面白さだろう。ゆえに長くなっている。
話していくうちに認識がすり合わされて、最初の方にでていた案を修正したり辻褄があってきたりする。これは言葉遊びにも似ていて、回文など辻褄があうように練っていくと最初の方に入れていた言葉を変える必要に迫られたり、思いがけない組み合わせが出てきたりする。この動画群に私が感じる面白さはそれと、他人が感覚について話すことのふたつによって構成されているように思う。
「一人だけ酔っ払ってる奴は誰だ!?第一回・酔狼」
シラフの中から酔っている人を見つけるタイプの人狼ゲーム。公開された順番上こちらをあげたけど、逆の「酔っ払いの中に潜む、お酒を飲んだフリをしてる「シラフ」は誰だ!?【シラフ狼】」のほうが少し勝る。シンプルに普段と違う状態で企画を行うという状態が好き。シラフ狼のほうが酔っている人間を見るという点で勝るが、それだけでなく怪しいとされていた人がただの村人で、それにより狂人が計画を変更せざるをえなかったというミステリっぽいひねりがあるのもよい。酔狼のときより意外性があるのが、メンバーのリアクションからも分かる。
普段と異なる状態でやる企画のが好きなのは単純というか、基本的に同じ場所で同じような服でやっているから当然のようにも思う。「【バカシンジ】アスカになりきれ! あんたバカぁ?選手権!」「ムスカ大佐が野菜を蒸す!「野菜蒸すか大佐」」「【承太郎】オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ【ポルナレフ】」あたりのコスプレ企画は全部しょうもないので素晴らしい。気の抜けたコスプレが、しっかり理解しながら見ようという心構えをとっぱらってくれる。逆にしっかり頭を使って見る必要のあるボドゲ企画もあるのがこのチャンネルの面白みなのかもしれない。ボドゲ企画は手間のかかる編集でわかりやすくしてくれるのがありがたい。
「YouTuberは効果音を自分で作る時代」
タイトル通り日用品で効果音を再現する企画。ARuFaさんの技術が光っていたのでよかった。たまにこういう各々の長けた部分が見えて、素直にメンバーがそれに感心する構図は好きですね。現時点で最新回のARuFaクイズにおけるバランスボールに乗ったまま姿勢を維持する技術もよかった。
「春なので『お悩み相談』をさせていただければと思います」
「自分にしかできない仕事」はないが「自分にしかできない立ち位置 信頼はある」という永田さんの回答がよかったため。人生は暗いチューブか、黄金かのくだりもよかった。全体的な回答として楽天的なように見えるが、実は楽天的というより、無関心さというかどうでもよさ、ほどよい拒絶があるのかもしれない。「動画回ってないときに同じ相談されたら違う回答をします」という発言が動画内であるように、ある程度エンタメとして扱うからこそ出てくる回答というか。
「動画回ってないときに同じ相談されたら違う回答をします」発言についてはこのときも引用したのだけど、ふっくらすずめクラブの改名から終了も今年のうちだった。もっと前かと思っていたので、情報の移り変わりの速さについて思う。
「ダ・ヴィンチ・恐山が教える 人生の“勝ち組”になるたった一つの方法」
ネタバレすると洋麵屋五右衛門のお吸い物のスープにある豆腐、それが小さいということを熱弁している動画。コスプレと同じようなしょうもなさがあっていいですね。週5になってから出てきた個人持ち込みの短くてくだらないものだと原宿さんの「【緊急来日】あの超能力者の透視能力は本物なのか!?徹底検証」もある。5人それぞれが持ち込んでもっと増えて欲しい。
個人の持ち込み企画だとシンデレラフィッターズはおそらくARuFaさん発案っぽくて、日用品から熱狂できるものを案出しているのが彼らしくていいなと思っています。
「【超展開】スパイを探すゲームで恐ろしいことが起こった「コードネーム」」
コードネームというボードゲームを賞品をかけて本気で行う、という企画だがルール慣れしていない長島さんのチームが弱すぎてつまらなくなりかけ、それを上回るみくのしんさんのプレミが被さってよく分からなくなり終わる。オモコロチャンネルに限らず意図しないハプニングは面白いですね。がんばったで大賞などでNGシーンを見ていたころから変わらない。この動画はプレミと意図の行き違いみたいなのが重なって事故を起こす、そういう複雑さも面白い。
意図しないオチだと「その水が採れた場所に必ず行く……それが採水地ギャンブル……」もよかった。「お馴染み料理を新鮮に楽しもう!『ありえない食い方選手権』!」もオチではないけど、変な感じになって終わるのでよい。
この意図しない出来事がさらにロジカルな連鎖を生んでいる回も好き。「コトバを落としただけなのに」は雑談の中に指定されたワードをすべりこませて周りが当てるゲームだが、原宿さんがランダムな単語をたくさん発言しまくる禁じ手を行う。しかし意図せず楽器の単語がふたつ混ざったせいで怪しまれて看破される。人間があえてランダムなふるまいを行おうとして裏目に出たという点で江戸川乱歩「心理試験」を連想させてかっこいい。
「ものを知らないヤツほど強いクイズ大会に最強の刺客登場!?【無知王2】」はそもそも不正解すると得点が入る、という特殊設定バトルのような作問の複雑さで頭を使うが、それを上回る想定しない無知さによって面白いプレイが生じているのが複雑で面白い。頭を使って見ていると気の抜けた面白さが直撃するという点で、このチャンネルを体現している企画のようにも見えてくる。
「今、エンタ芸人になりたいのは、この男たち〜〜!!【オモコロ版『エンタの神様』】」
コスプレ回とはまた違う、演技ものというジャンルもオモコロチャンネルの動画群にはある。各々が何らかの演技を披露する回で、気合が入っていたり毎回奇天烈な原宿さんなど、その特殊さが好き。このエンタの回は演技と、それに対する反省のリアクション(てやんDを永田さんが恥じている場面など)が同時に見られるのでお得感がある。この系統だと「【巫女】「神社にいる神様」選手権でARuFaにハマれ!【狐】」もよかったですね。
これらの動画に感じているのは二次創作的な面白さとはまた違っていて、なぜなら別に学パロのような二次創作にそこまで興味がないからである。身もふたもない言い方をすると面白いものを作ろうとして作るという姿勢が上手くいったり失敗したりする、本職的な部分が垣間見えるからだろう。
「おじさんだって『まんがタイムきらら作品』みたいに可愛い日常を送りたい!」
上にあげた演技系から「各々が何らかの演技を披露する」選手権としての形式を取り除くと、ただ演技が見られる回になる。このきらら回もそうで、「黄うんちたち」もそうだった。不慣れなことをしていると面白いという普遍的な現象で、真面目に演技をしているとなんか面白いので好き。
上にあげた過去ブログで「ボツになった七不思議のやつはあるけど、動画慣れしたいまもう一度なにかやってほしい。学園ドラマ風の動画とか出てくれたらとてもうれしい。」と書いていたので、黄うんちでは本気寄りの演技が見られてうれしかった。ボツになった七不思議のやつというのは、過去イベントで披露されていたものです。それでも演技ものは増えて欲しいのでその思いからとりあえず最初のアンケートでは黄うんちに入れた。
「「コレが怖いの私だけ?」個人的 “恐怖症” 発表会」
架空の設定を練るのとはまた異なった雑談回もあり、これはそれに該当する。最初にあげた最高の年末年始や動物の名字は、架空の設定を練る雑談と、ただの雑談のあわいにあるような回かもしれない。同じようにドライブトーク回も好きで、素が見えるような場面はやはり好きになりがち。「同僚をパーティーに呼びました(開催時刻:午前3時)」もなんというか会社員としての社員のみなさんが見えたようでよかったです。
こうしてあげてみると、イレギュラーな回が多い。というのも撮影部屋でなにか食べたりクイズに答えたりしている回が多いからだろう。ではその普通の回が嫌いかと言われたらそうではなく、同じように好きである。むしろ通常回に安定した雰囲気があるからこそずっと見られているし、ちょっとイレギュラーな回が楽しめる。やはりこのチャンネルに私が惹かれているのは安定した雰囲気なのだろう。更新頻度を増やしながらこの雰囲気を維持しているのはすごいことで、終わることがあるなら気持ちのよい形で(その点でふっくらの幕引きはよかった)、また引き続き応援したいと思っています。