nikki_20230324「赤の他人と最高のセッションする奴」

 

ジャルジャルというお笑いコンビは毎日コントの動画をあげていることで有名で、その中の『赤の他人と最高のセッションする奴』という動画が好きだという話をする。動画、としたのはこれをコントとして面白がるのはどうなのか、自分のなかでひっかかりがあるからだったりする。内容はタイトル通りで、ピアノ奏者の家にトランペット奏者がやってきて即興でセッションをする。ジャルジャルのふたりは楽器経験がない(たぶん)ので、それはあくまで「楽器を演奏しているふり」に過ぎない。そうして行われる出鱈目すぎるセッションが滑稽だという、それだけのコント。一番の見どころはふたりが素で笑ってしまう回数がかなり多いというところで、それが私が好きな理由である。しかし素で笑ってしまうのが好きだから好きというのはコント本来の面白がり方とは乖離したもので、あくまでメタ的なものにすぎない。だからコントとして面白がるのはどうなのかということを書いた。お笑いを面白がるというときに純粋に笑えるという点と、芸術として面白がるような視点があると感じている。お笑いにはまったく詳しくないのだけど、私がお笑いに求めているものはおそらく後者みたいなところがある。一方で純粋に笑えるものも必要で、そういう点ではこのコントが一番かもしれない。動画の短さというのもポイントで、初めから見て物語の文脈を汲まなくてもジャルジャルが噴き出すシーンを数秒見ただけで面白がることができる。インスタントな消費ではあるけど、そこも大きい。しかし結局のところ、その「純粋な笑い」をこのコントにおいて引き起こしているのはメタ的な視点なわけで、結局そういう入り組んだ構造とかにウケている点では、前者の面白がり方と混淆している気もする。そんなことを考えさせてくれるという意味でも好きなコントだなと思う。

 

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