日記_2022/1/9「2021年音楽振り返り 前編」

 

 1/8に帰省から戻ってきて、部屋を片付けたり簡単にレイアウトを変えたりの物理的片付けをしていた。この日は書類などしなければならない手続きをやって精神的片付けをするなど。その一環として、これまでに書いた1年分の日記をscrapboxへ全アーカイブするということをした。これは1/10までちまちまやって完遂した大仕事だったので為し終えたことが嬉しかったのだけど、ついでに昨年を振り返って整理する目的もあって意外と達成できたのである。ということで今更ですが、2021年の音楽鑑賞を振り返ります。

留意点
・今年聴いた曲であり、今年リリースされた曲とは限らない
・個人的に今後の音楽嗜好に関わってくるであろうという曲・アーティストであり、批評的に「2021年を代表する曲」ではない

 以前、spotifyの記録について書いたことはあった。しかしあれはあくまで8月くらいから導入したspotifyの分析にすぎないので…。とはいえ、振り返るデータベースがspotifyにしかないし、振り返ってみてもどこかに具体的な証拠があるわけでもない。youtubeだけで聴いていた曲もあるはずだ。2020年(これはそう考えるとキリがいいのでそう思っているだけで、実際は2021年くらい)以降から日記をつけることで自分の作品鑑賞履歴をはっきりさせていくべきだと思い始めていて、まだまだ模索中でも仕方ないかもしれない。しかしこのぼんやりとした音楽遍歴の記憶は少し後悔しているので、Twitterで共有したら自分専用ハッシュタグをつけるとかして、なにかしらで振り返りやすくしたいですね。何が言いたいかと言うと、大した記録のない中でも印象に残っているという点でかなりこれは鮮烈だった曲群ということです。

 以下、10に分けて紹介します。

 

 

1 ツミキ SACCAC CRAFT

 これは曲ではなくアルバム名である。2月頃に発売されたボカロPであるツミキ氏の初フルアルバムですね。ツミキさんは好きです。そして曲調も流行りを押さえていて、というか逆でツミキさんが流行りを作っている面もある。下位互換コピーみたいなのを中高生の方々が出しまくっている流れは痛さみたいなものがあり、完全に個人の好みとして苦手な節があったのですが、このような曲調を真似ることで作曲の敷居が下がるみたいな動きはよかったのではと思っています。

 ともあれまあこれみんな好きだろうな…という要素てんこ盛りで、これを「好き」と言ってしまうのは「好きなんだろ?」と言われて出された料理をガツガツ食いまくるみたいな恥ずかしさがある。悔しいけど好きです(ツンデレ)。以下はじめて聴いたときのTwitterのつぶやきが分かりやすかったので載せます。本人が目にすること前提だったのでちょっと気取った文体だ

 ツミキさんのアルバム、入手して30分通しで聴きました。楽器の編成はほぼ同じで少ないにも関わらず、互いを邪魔しないように計算された楽器。それらが良い音かつ全力で暴れ散らかして殴りかかるので破壊力が高すぎる。アレンジはリリースカットピアノが多用されていて、踊りたくなります。
 そんな破壊力の高い曲たちが椎名林檎のアルバムみたいに曲間の空白時間が無いまま押し寄せてくるので、ライブに行ったみたいな、ぶっ飛んだ興奮を感じられます。以前椎名林檎について言及されていたので、たぶんリスペクトもあると思いますが…
 中身がないのに難しい言葉ばかり使う、みたいな衒学的な歌詞は少し苦手なんですけどツミキさんは難しい言葉が多くても聴いていて違和感がない。これらを両立させている感じがします。
 特に最後の「スイサイ(以下略)」は久しぶりに聴いて変拍子なのを思い出したけど、違和感なく疾走感と寂寥感に満ちている。ライブのトリのようで、半音で降りていくベースで泣きそうになりました。こんなの間違いなく人生に残る名盤でしかないです。ありがとうございます。

 個人的にはアノニマスフアンフアレが好きです。爆音で聴くとかなり良いのと、言葉遊びや曲自体のメタ的言及のトリッキーさなどが冴えている

 この文章でこれ以降はボカロを言及しない(これは嘘で、後編でしました)ので、派生して言及しておきます。2021年は可不に関する記事を書いて、それなりに反応があったりそれつながりで色々あったりして大きかったなと思っていますね…。好きなことについて語る重要性を知ったというか、当記事自体はリンクの貼りすぎで重くなっていて、内容もアップデートしてないのでまた更新したいです(そう言って先延ばしにする)。

 ボカロ曲自体は深くdigしているというわけでもなく、知っていたり有名な方の曲が出ていたら聴くという程度である。いちおうボカコレのときに数日連続で聴いた曲の感想を日記で述べたりしたのだけど、そこまでです。

 そうして聴く曲のいろいろは好きなのだけど、人生の嗜好を形成するほどではないんですね。あくまで好きなものの棚に入るものが増えたというだけで…。「好きなんだろ?」と言われて出された料理をガツガツ食いまくるみたいな恥ずかしさ、とさっき述べたのだけどそんな感じだな。好きだし口ずさんだりするし、それらが流行るのは分かるのだけど、そこまでしかいかない。いろいろ外食で食べるけど、写真に撮ったりしていない限り思い出せないみたいな。それがいまのところのボカロ曲なので、たくさん聴いたのはあるけど振り返ると印象に残ったといえば、、という感じになる。決して衰退しているとか嫌いになったとかではなく、盛り上がっていると思うし好きなんです!分かってください、、

 自分のなかで「好き」であることと「自分の嗜好を形作る」というのは異なるベクトルだなと今年の音楽を振り返って感じています。全く別ではなく、重なり合っている部分はありますが。念押しするとそれは本当にどちらが劣っているとかじゃなくて、違う感性としてあるのかもしれないということをぼんやり感じている次第です。長くなった。

 

 

2 ミカヅキBIGWAVE METROPOLIS.exe

 ミカヅキBIGWAVE氏による楽曲で、ジャンルで言うとfuture funkになるのかな?上半期くらいに人が紹介していたのを知って好きになりました。もともとkawaii future bass とかはyoutubeでなんとなく聴いていたので馴染みはあったのですが、作者単位で意識したのは初めてだったかもしれない。音声カットアップがふんだんに盛り込まれていたり、同じフレーズでリズムを変えたりしていて楽しい。ぜんぶ聴いたとかはないのですが、「El Dorado 魔法少女伝説」とかよかった(アニメの音声をサンプリングしているのでSoundCloudとかyoutubeでしか聴けない、これがspotifyだけで音楽を振り返ろうとする難点でもある)ですね。そこからアニメの音声をサンプリングしたり、曲をリミックスしたりする文化(ブートレグ)を知れたのもよかった。これが音madにも肉薄していくわけである…。

 

 

3 2÷す GIRL'∫ 綴RHYTHM

 2÷す氏による音madであり台詞イントネーション作曲。これは9月くらいに人の紹介で知ったので時系列に反するのですが、つながりとして挙げます。アニメに出てくる女の子の声を切り貼りして新しい曲として昇華している作品ですが、こういう文化は結局上に述べたものとつながっていくわけで。そこからというわけでもないけど、今年は音madを自作してみたりで、そこを漁るような動きも顕著だったかもなと思います。これも台詞イントネーション作曲のように音楽ジャンルとしてとらえるなら今年の音楽ですね…。ちょうど「続・台詞イントネーション作曲合作」が出たりして熱かった。ことしも趣味の範囲でいろいろ見聞きできればと思います。台詞イントネーション作曲もやってみたいです。かなり難しいだろうけど。

 

 

4 Eat Sleep Dance  電音部,Moe Shop,犬吠埼紫杏 (CV: 長谷川玲奈) 

 ふたたびkawaii future bassあたりに戻るのだけど、Moe Shopさんも作者単位で意識したので大きかった。最初に知ったのはsoundcloudあたりだったのだけど、このEat Sleep Danceは今年出たもので「Moe Shopの新曲」ということで聴いていたら今年いちばん聴いた楽曲になっていた(spotify調べ)。リリースカットピアノやチップチューン、音声カットアップなどてんこ盛りで好きだな~となりましたね。今年はkawaii future bassを作者を意識していくつか漁っていて、yunomi、neko hackerとか聴いてました。ただ、このジャンルは「この作者のものをまとめて聴くぞ!」となっても提供していたり、コラボしていたりなど分散しているので、漁り方としてはシャッフルに任せて聴いていくのがいいかなと思いはじめていて、どうなんだろうか。

 

 

5 スタァライト九九組 私たちはもう舞台の上

 いつものです。もう日記では言及しまくっているので深追いしません…と書くことすらも常套句になっていますが、レヴュー曲ふくめ音楽的なことを述べます。曲を聴いて作品の細部を思い出し、感傷に浸れるという経験がはじめてでした。インタビューにおいて、スタァライトのレヴュー曲などは「持ち帰れるレヴュー」であるというような言及があったように思うのだけど、まさにその通りで大成功していると感じます。これは歌劇テーマ、歌って踊って奪い合う、というアニメの性質を生かしていて、劇伴でもありキャラソン的、セリフ込みのアニメの一部もあるという…。曲調がころころ変わるので、そこをフックとして思い出せる起点がある。同じフレーズを曲調を変えて繰り返すとか、そういうのも好きなのでツボでしたね。音楽体験として新鮮でした。ふつうのアニメの劇中歌ってあまり歌詞を聴かせる感じではないと感じていて、そことは異なるように思います。この私たちはもう舞台の上、はレヴュー曲ではないものの、中村彼方さんの歌詞の落とし込み方がうますぎる。100回以上聴いていると思うけど、聴くたびに泣きそうです

 

 ここまでで4000字になり長くなりそうなので、後編へ回します。前編はボカロやアニメ文化中心になったので後半は邦楽中心になると思いますが、どうでしょうか。おやすみなさい。