今年よく聴いた曲のプレイリストについてひとことコメントするという2022年からやってる恒例の記事です。私の音楽事情についてnikki_20250103で書いた(というかこの記事でぐだぐだ書かないためにまとめた)のだけど、ここ2年くらいは家のパソコンのみでspotifyを聴いていて、外では集めた中古CDを取り込んだウォークマンを聴いている。後者の方をたくさん再生しているわけで、外出先で端末の充電が切れたらスマホを開きSpotifyでダウンロードしたプレイリストを聴いている。つまり「Spotify My Top Songs 2024」はその影響が結構入っていて普通に去年と同じ曲がいくつかったり、まあつまりは前から感じていたように偏りがあるわけで、今回は適宜省きつつ選んだりして3部構成にしました。今後もいい感じになるまで書き方は変えていきたい。1万5000字くらいあって長いので気になったものだけ読むなどしてください。
Spotify My Top Songs 2024からいくつか
可ラッカ「ディズニーランド建てたい」
このタイトルからやりきれない生活の感じが導き出されるのが可ラッカ氏の真骨頂。このアルバム『The Mothra』もだけど『カンガルーファイル』が特に素晴らしかったです。「ジラフセンター」も最高。
御花屋「君が爆弾になる回(feat.初音ミク)」
歪みまくったギターのサイケな感じとメロディのキャッチ―さ。渾身のDメロが一度だけ最後にぶちこまれるのもいい。
スカート,aideu「波のない夏」
夏ソング、だけど自称「秋冬の帝王」だけあって冬や秋を見据えた寂しい夏という感じがする……。本人がブログで述べていたようによく聴くと曲の構成も変わっている。次々に新しいメロディが出てくる全編サビみたいになっており、ぼーっとしてるとすぐに終わってしまうように感じる。これが何回も聴いた要因かも。「君はきっとずっと知らない」もロイホでMVが撮られていたり、短さが効いていて好きだった。あと『Extended Vol.1』も全曲素晴らしかったです。「君に会いに行こう」なんか風景の羅列だけでグッとくるのが好き
6日
名古屋で弾き語り。ふらっといってふらっと帰ってきてしまった。とにかく暑い日で、新しく買った長袖のシャツと暑さの相性が悪く、後半は朦朧としながら歌い切った。「波のない夏」歌ってる途中で記憶が飛んだ。A→2A→B→A'→2B→C→Outという構成なのだが、気がついたらCを歌っていて、今までにない経験だったからとても驚いた。もしかしたらA'と2Bを飛ばしたんじゃないかって今でも思ってる。
柴田聡子「あなたはあなた」
京都のライブハウス「磔磔」の50周年記念、スカート澤部氏のラジオ公開収録withゲストの柴田氏という公演「静かな夜がいい vol.2」があって聴きに行ったのも今年だった。それまで柴田氏といえば「後悔」くらい知らなかったのだけど、アンコールではこの曲をふたりでカバーしていた。一聴で刺さったわけではないけど、帰り道に聴いてからしばらくハマったのだった。歌詞のストーリーはよくわかっておらず、しかし最後の観覧車のくだりとか、身近なものを用いた比喩にはっとする!みたいな言葉の連続がうれしい。
転校生「空中のダンス」
転校生『転校生』も今年たくさん聴いたアルバムだった。ずっとほんのり暗い。ほとんどピアノと歌声だけで魅せていてシンガーソングライターってすごいなーと思う。
柊つかさ(CV.福原香織), y0c1e「寝・逃・げでリセット! - y0c1e from T.R Remix」
『らき☆すた』も見てないし原曲も去年くらいに知ったのでぜんぜんこっちだけたくさん聴いている。パーカッション周りなどエレクトロニカの技術と再編曲のポップスの技術が融合していて気持ち良すぎる……今年投稿した以下の動画を作った動機のひとつにこのリミックスがあります。
ハヌマーン「Nice to meet you」
もともとこのアルバム自体とても好きだったけど、これだけ何回も聴いていた時期があった。朝まで起きてたら新聞が来るという日常から世界と自分の隔たりを感じるという歌い出しが好きです。そこからスケールが広がっていくのもいい。
悲しくてさ 眠れずにさ
ポストにガタンと音がする
ねぇ新聞屋さん
僕の今日は君にとって昨日の事?
チト&ユーリ「動く、動く」
まだ少女終末旅行のアニメ見てなくてごめんなさい。More One Nightしか聴いてなかったのでサブスク解禁されてから何回も聴くようになった。今年は京都METROの「無機的で有機的」においてTomggg氏がDJの締めにこれのカップリング「Endless Journey」を流していたのも感激だった。
リーガルリリー「キラキラの灰」
シンプルな四つ打ち、ベースもルートをなぞるだけ、テンポもゆったりだけどこういうのが結構好きです。きらきら星の歌詞が違うメロディで歌われるのもいいですね。童謡の歌詞が引用されるの好き(好きな歌詞発表ドラゴン)。これらが不安と共に進んでいくテーマともぴったりで、ファンタジーっぽい言葉がリーガルリリーらしい歌詞になってるのもいいですね~。
最近クラムボンのミト氏が出したリミックスもよかった。旧豊郷小学校にも今年行ったけど(2回目)、サインが飾られていてこの人かーとなりました。ダンジョン飯も知らないけど九井諒子先生の短編集は面白いらしい。「ひきテラ」だけ読んであとの2冊は買って積んであるのでまた読みます。
大室家「My Sunny Side!」
映画を見に行った。「当たり前に思えることが/これからも続きますように」という歌詞を聴くたびに泣きそうになる。当たり前って当然にずっと続くわけがないんだけど、それでも「続きますように」と歌うのは日常系そのものの祈りみたいで……
柴田聡子「結婚しました」
これも歌詞がどういうストーリーなのか分からないんだけど、「マツダの軽」「チワワと鳥と亀」「ちばてつや」とかちぐはぐな言葉が詰め込まれているワクワク感が結婚式の高揚感っぽいよね!と思って聴いている。しかし転調やメロディからはちょっと不安や切なさもあり
マサラダ「ウルトラトレーラー」
曲自体がでっかい予告編というアイデアからいいですよね。MV含め全体的にギャグっぽい要素がたくさんあるが、そのアイデアたちを高い水準で実現してまとめあげているのがかっこいい、これになりたい。
toe「グッドバイ - album version - 」
もともと好きだったけど改めて。歌詞も英語で聴き取れないしマスロックでリズムも乗りにくいのに、というかむしろそうだからこそ?、繰り返し聴いていると非常にやりきれない気持ちになってくるのでラブです。
メランコリック写楽「成仏できない」
「キラキラの灰」と同じくこれもキャッチーな四つ打ちロック。都合で5年越しになった解散ライブに行ったのも今年だった。解散ライブって初めてだったけど、空気が最後まで悲しくなり切らない絶妙さがよかったです。この曲もライブでやってくれて、ロリータを着たボーカルのももす氏がギターを引っ提げ「成仏してください!」と言い放ってから始まったのが萌えで非常によかった。
さよならポニーテール「みえないフレンド」
この一年でもTwitterは色々あったけどそれでもこれはあのSNSの個人的テーマソング。さよポニからのメッセージでもある。
IA「風邪ひくなよ (feat.石風呂)」
IAの声は最新版でだいぶ変わってしまっているのだけど、共感込みで石風呂氏の中でもかなり好きかも。歌われているのは冬の帰り路に泣くというかなり悲しい光景、しかし「大事なことは 口に出さないで生きていくんだって/決めたとこで悪いけど 誰も知りようがないよ」みたいな逆接がフレーズに乗せられる自問自答の感覚など、曲にすることでコミカルになっているのが氏らしい。実際に泣きはしないけどこんな日って結構ある。
TOKOTOKO(西沢さんP)「エメラルドシティ」
フォロワーさんが聴いていて聴くようになった。やりきれない感じが素晴らしい。10年以上前の曲だが、今年は「EX10TION」バージョンと題してセルフリメイクが出た。こちらもかなり素晴らしく、この曲を歌っていいのはこの世界に花隈千冬しかいないと思わせるほどにしっくりきていると思う。
柴田聡子「涙」
下記ツイートにおける「柴田聡子の歌のカラクリは「本当のことを言わない」ということ。」という部分がとてもわかる。これも「悲しい」やそれに類する単語がほとんど出てこないがずっとほんのり悲しく、最後になって「涙」「泣く」という言葉が出てくることで堪え切れずに泣いてしまうみたいになってるのが良い。
柴田聡子の歌のカラクリは「本当のことを言わない」ということ。悲しい、寂しい、ムカつくと言ってしまえば安いだけのエモになり下がり、彼女は本能的にそこを拒絶している。だから周りの事物をひたすら音に、言葉にする。結果として「本当のこと」の輪郭がより強烈に浮かび上がってきたりもする。
— 荒木 (@soundhallman) 2024年11月29日
雀が原中学卓球部「V字上昇Victory - instrumental -」
この曲のすごさを知ったのも今年だった。高校時代は「灼熱スイッチ」ばかり聴いて見向きもしなかったが、今はこっちのほうが好みというのが、ここ数年の自分の音楽嗜好の変遷を象徴しているように思う。。氏の愛したthe band apartは「Eric.W」しか知らないが、それに近いアンサンブルからラスサビでビートが疾走してまとまっていく。これが結束していくみたいでかっこいいし、さらにピンポン球の音をサンプリングすることでアニメ挿入歌である意味を付け加えているところが熱い……
嘘とカメレオン「プラネット・ブルー」
キャッチーな四つ打ち。私もSpotifyのおすすめで知ったのだけど、ボカロが好きな人は結構好きになれると思うので聴いてほしみがあります。四つ打ちだとたまたま聴いた「わんだふるぷりきゅあ!」のEDもギターがご機嫌で好きでした。
ハヌマーン「アパルトの中の恋人たち」
これは今年初めて聴いたのだけどこんないい曲を見逃していたのかという感動があった。でも深夜に意味もなく家を出て外をぶらつく、という経験を重ねないとわからなかった曲でもあると思う。
星街すいせい「ビビデバ」
『SAKKAC CRAFT』が大好きなアルバムなので、ツミキ氏がここまでデカくなったことは本当に驚きで嬉しい。
みぃなとルーチ「Sea Song」
さよポニボーカルみぃなさんのソロプロジェクト。これを聴くようになったのも今更過ぎるが今年だった。生命のはじまりとしての海の広さと深さ、神秘的な雰囲気と軽やかな親しみやすさをもあわせもつ歌声から改めて稀有な才能なのだと実感する。次点で「愛のうた」もたくさん聴いた。
坂本龍一「20210310」
プレイリストのなかに坂本龍一『12』の曲がちらほらあるのは浮いているようでもあるのだけど、今年コロナウイルスに罹って寝込んでいた時にずっと聴いていたからです。ほとんどピアノの音だけでも何か漂う空気みたいなものが圧倒的で、死を見据えた人間がスケッチとして綴った音楽であり軽く聴けるものではないのだけれど、歌詞のある曲は騒々しく聴きたくなくて、落ち着いていた思い出。同時期にスクエアプッシャー「Lambic 9 Poetry - Remastered」も沢山聞いた。
ひがしやしき「teokure泣」
このアルバム含めてまだちゃんと聴けておらず反省。「理解らせ橋」もサンクラでこれ以上にたくさん聴いたと思う。冒頭の「うわさの本物のアレは/まあいうほどでもないな/私だけのそれに/まあとっくに出会ってたから/ルーブルのあれも/でっかいスピーカーのlowも/いうほどではないな/いうほどではないな」が本当に好きで、何かを鑑賞するたびにちゃんと感想を持たないと!と強迫的に思ってしまう自分には薬になる歌詞です。「いうほどではないな」って思うことばかりで、でもだいたいそういうもんだよなーっていう。
長谷川白紙「ユニ」
2番bメロの後が素晴らしくてそこだけ何回も聴いていたときがあった。ピッチがずれたような確実な不協和音なんだけど泣けてくるのがなんでかわからない!原始的に揺さぶられる体験だと思う。音だけ注目していたけど、最近聴くとけっこう歌詞が挑発的だなと思いました。『魔法学校』もすき。
濁茶「ゼロ発信(feat. 重音テト)」
フィクションはフィクションに過ぎないけれど、それでも……という濁茶さんの一貫したテーマが好きなのは変わらず、今作もそれが電話というモチーフを解して語られている。一方でガラスが割れるみたいな音が場面転換でクラッシュシンバルみたいに使われていたりそういうトイサウンド(こんな言葉があるのか不明)、あるいは途中でカントリーっぽいギターソロが乱入するなどの変った作りも入れつつサビはゆったりとした旋律で、ポップスと混ぜ込むのが上手で憧れる。「おしまいで~す」が個人的独り言ランキング上位で、ひとりでよく呟いてました。
Negicco「Walk With」
ご当地アイドルとしてやってきた彼女たちが三十代を迎えて人生を振り返る辻林美穂作詞作曲のナンバー。奇しくもひなビタ♪においても同じような振り返りソングを辻林氏が担当していたのが奇遇だと思う。あちらについては結構過去曲の引用があり、その手腕はすごいとも思いつつあまりコンテンツに詳しくなく言及が憚られるので略……。こちらについては単曲としてかなり好きでした。「語り明かしたベンチはもうなくなっていた」とかいいですね。町と人が関わって思い出になっていく、みたいなテーマが好きすぎる!
そのほかのアルバム
きのこ帝国『eureka』
きのこ帝国を全部聴いた年でもあったのだけど、総合してこれが一番好きでずっと聴いていた。深夜の国道を1人で歩いているときみたいな虚無、寂寥、茫漠みたいな気持ちが全部ある。「風化する教室」→「Another Word」の流れと、最後の「明日にはすべてが終わるとして」が好きです。後者は諦念を突き詰めた先にある反転、そんなとてもわずかな、ほのかでひねくれた希望が見えてくるように思っていて、それが素晴らしい。
the cabs『再生の風景』
「九月は讃美歌による」に去年の記事でも触れたのだけど、the cabsは3枚ともCDを手に入れたので全部繰り返し聞いていた年だった。たくさん寓意を含んでいそうな歌詞からは勝手に戦争を連想していて、なんともいえない気持ちになっているのだけど、これはこのバンドのドラムが「爆撃機」と呼ばれていることと(あまりそう呼びたくはない)関係はあるのだろうか?
シャウトを交えた歌唱やスリーピースで成立させる演奏能力の高さなどとにかくすごいのは言うまではないのだけど、それらを尽くして表現される曲からは退廃というか飽和した状態を感じていて、そこが好き。あとなにげに口ずさみたくなってしまうメロなのもすごいと思う。アルバム『再生の風景』はそんな風景を「再生の」と修飾しているわけで、結局先述した『eureka』と同じことを感じている。退廃しきった先の希望というか……。アルバム通して「地図」「anschluss」「Your eyes have all the answer」みたいなそこまで変拍子が展開が激しくない曲もあって、振れ幅の広さがある。最近はそんな最後にある「すべて叫んだ」を何回も聴いています。
さよならポニーテール『You&I』
2022年ぶりのさよポ二の新アルバム。panpanyaの新刊ほど活発ではないがオリンピックよりも離れてはいない定期イベントみたいなイメージになっている。「シオン」の座組で作られた「ルーシア」、「アポロン」のファンク、「星の旅路」「夜のたわむれ」のしっとりボーカルとR&B、変わらずメンバーそれぞれの個性は引き継ぎつつ新しい音楽を見せてくれていると思う。
1選は「ふれられない奇跡」で、直球の卒業ソングをいきなり投げられてとても喰らった。ちょうど米澤穂信『冬期限定ボンボンショコラ事件』を読み終わったころだったり、あるいは後述する月あかり研究会の新譜『四月のリボンは星を見る』だったりで卒業について考えていたタイミングもぴったりでした。
本人も懐かしめの曲調とは言及しているし、なにより『モミュの木の向こう側』という死別のアルバムから始まった彼女たちだから、別離の歌というのはやはり原点回帰感があって間違いなく良い。しかしシンセやパーカッションなどから最近のブラックミュージックの影響を受けた方向性も感じられるし、あと久しぶりにデュエットが聴けたのも嬉しかったですね。このふたりの組み合わせはちぃたんのシーズンでもちょっと押し出されていたけど好きで、ジャケットでしゅか氏が白衣を着ているのが天文学者が夢であるという設定も思い出してよくて……
2019年に10周年記念のベストが出ていたことを考えると彼女たちにとって2024年は15周年にあたる(デビューの概念が曖昧なところもあるっぽい?)。今年は「星の旅路」がラジオで紹介されたことによりメンバーのゆゆ氏のコメントが放送された。15秒ほどとはいえ、歌以外で喋るメンバーの声が「放課後ぽ~たぶるれでぃお」以来の10年ぶりに世へ放たれたのは大事件だったのではないでしょうか。来年も動きがあるとツイートしてくれたので、楽しみに追いかけたいです。
Happy Clover「明日でいいから」
「高校時代は「灼熱スイッチ」ばかり聴いて見向きもしなかったが、今は「V字上昇Vivctory」のほうが好み」という現象はこっちでもあると思う。作曲者は違うけどOPのパンチマインドより今はこっちのムード。ずっと高校の時にウォークマンへ落としてから見向きもしなかったが、広川恵一作曲という情報を知って聴いたらとてもよくてヘビロテしていた。いかにもEDっぽいかわいさだけど、その実まどろむようにBPMがだんだん変化していたり、2番あとの裏拍が特徴的なリズムとか、けっこうそういうアンサンブルが生きているのがテクくてかっこいい。歌詞は「嬉しいな 意外なつながりよありがとう」が好き。意外なつながりに支えられているところって結構あります。「これからどうなるの(中略)知りたくなったらねやっちゃいなさい」もサンボマスターみたいで好き。
コサメガ『風のような声のような』
ボカロ。「風になって」で知ってから楽しみに追っており、アルバムが出たのがうれしくて春M3で購入した。当時の自分のツイートから以下に抜粋する。書いてないことだと元京大のDTMサークルの方ということもあり、名所ではない日常的な京都を感じさせる風景がMVに出てくるのがいいです。それぞれの半径圏内の生活と風景があるんだなと思う。鹿あるく氏との合作「育もう」も最高でした。
コサメガ『風のような声のような』良すぎる 個人的オールタイムベストの名盤に入る
— 感想届 (@kansou_todoke) 2024年5月13日
たとえば詳しくないなりにhyperflipとかで音が割れまくっているところに破壊衝動のような感情を見出すとかなり嬉しいのだけど、そんな感じで音が本来持っている(と思う主観的な)性質がそのまま生き生きとしている曲って本当よくて好きで、それをやっている曲ばかりだと思った。渋谷系の予測のつかない展開は「交差点が突然」だったり「もう次の感情にいた」ように日常から新しい気づき見えて知らない景色まで連れて行かれる感覚と重なるし、ブレイクビーツやカットアップは「撒き散らす音が光って見える」ように見慣れた景色がキラキラしていく感覚と重なって、そしてここで表現されて大切にしようとされていることはおそらく自分が大切にしようとしていることに近いから刺さる 続いていく日々や営みを見つめるまなざし、そこに風のようにある音楽とか……
月あかり研究会『四月のリボンは星を見る』
同じく春M3で購入していた新譜。前作『宝石の降る夜に』が本当に好きだったので楽しみにしており、期待を裏切らない作品だった。前作が夜の祝福ならばこちらは昼から夕方の祝福、しかし全体を通して卒業というひとつの区切りに向かい合った曲たちが揃っていて、「あのね」の短さとか表題曲の長めな間奏からそういうことを想う。
いよわ『映画、陽だまり、卒業式』
卒業つながりでもある。対になるように配置された楽曲から個々人の物語も、ひとりの物語も浮かび上がってくるという、いよわ氏のキャラソンっぽい音楽がこのような形で結実してエモーショナルな風景を描き出しているのがうれしい。
パスピエ『あちゃらか』
しょうみまだ何回も聴いておらずあまりしっくりは来ていない。ただ一聴してまた新しいパスピエを聴けたうれしさがあったのは事実だからちゃんと聴きたい。「それから」「避雷針」「幕間」までの流れがよい。Homecomings『see you, frail angel. sea adore you.』も同じ感じ(一回聴いただけ)になってしまっているし、ユーフォ3期をまだ見ていない。
NUUAMM『w / ave』
青葉市子、マヒトゥ・ザ・ピーポーからなるユニット。青葉氏の周辺を聴いていたら知った。青葉氏単体で声は際立つものだと思っていたけど、男声とのデュエットでもすごいよくてびっくりした。
sidenerds『潜水』
古参アピをすると1年くらい前にブログでこのバンドのねぎしのはん氏の「消しゴムユーザー」について触れていた。ブログって書いておくもんですね。まあそれもspotifyのおすすめで知ったのだけれど、sidenerdsはさらにシューゲイザー要素が入ってきたような感じ、なんというか好きにならない理由がないなという感じの音である。
nikki_20230610「プレイリスト37~47」 - 遺失物取扱所
nhomme『一種の過音』
マスロック要素の強いmidwest emo? 身体でリズムに乗ろうとすると痙攣したみたいな動きになるので楽しいです。
そのほかの単曲
Top100には入らなかったりアルバム単位ではないが単曲で聴いて印象的だったなあというものたち。新旧がかなり混ざっている。もうだいぶ書いているので短めにします。
dj galen, galentipton「brain juice」
四つ打ちでノリノリになったりハーフテンポ(トラップ?)になったり、変な音で殴られるのが心地よい。
Aiobahn, 牧野由依「non-reflection feat. 牧野由依」
ナイスドラムンベース。牧野氏の声でこんな曲作れたらすごい嬉しかったんじゃなかろうかと思う。
エレファントジム「春雨 Spring Rain」
こういうポストロックインストみたいなのも好きだなと気づけた年だったと思う。
そういう編曲のアプローチかあと思ったので
siraph「utopipa」
照井義政氏のバンド。「時間は告ぐ」だけ知っていてすごい好きで、あちらはポリリズム満載なのだけどこちらはジャズっぽいスイングが楽しい。「reverse」とか全体的に変拍子もありつつシックな曲が多いっぽい?のでもっと聴きたい。照井氏のスイングだとsora tob sakana「ささやかな祝祭」もはじめて聴いて彼女たちにこんな曲もあるのかと感動でした。
IA, hirihiri, lilbesh ramko「残響ディスタンス」
こういう曲が公式コンピに収録されるようになったことにあらためて感じ入るところがある。MVの踊り慣れてない感じも好き。合成音声の公式デモソングだと長谷川白紙氏の夢ノ結唱POPY「汀の宿」も今年だった。このIAのコンピに収録された石若駿「IA10S」は、ほとんど歌ではなく楽器として扱われたIAの声がアドリブソロみたいになる部分があり、これは現代ジャズ?なのかも分からないけど衝撃的でした。
ORESAMA「流星ダンスフロア」
四つ打ちソングを探していた時によく聴いていた。
シッコマン イン ザ パーティ「NYO SWORD」
触れないわけにはいかない感じがある。自分が先に二次創作で作っていたのでオンラインイベントを見たときヒヤヒヤしたが、ライムもフロウもトラックも完全に自分たちのものになっていてかっこいい。
関係ないけど東海オンエアの虫眼鏡氏がオモコロチャンネルについて「ARuFaという天才を擁しているのがすごい」みたいなことを言っていて印象に残っていて(下記ツイのリンク)、このたびの年越し動画を見てからさらに強く思うようになった。
東海オンエアの虫眼鏡さんも「入りたい」と目をつけるオモコロチャンネル。君はもう登録したか!!!!!!!!!!! https://t.co/0zw4HSdeNb pic.twitter.com/JBUy6EKEqs
— 原宿 (@haraajukku) November 30, 2024
名取さな「いっかい書いてさようなら」
潔い歌い終わりなど広川恵一氏っぽいバンドアンサンブルはさることながら歌詞も色んな受け取り方ができるぼんやりしたメッセージではなく、本当にインターネット上のコミュニケーションそのもののあるある話をしている……。ネットでの活動に全力すぎて怖い印象がある。しかし細かい言い回しを気にしてツイ消しをよくする身としては共感できる。
初星学園「光景」
学マスの曲でさえ?全曲追えてなくて情けないです。
ゆだち「遠雷 - 通り過ぎなかった夏の」
ブログで知って聴いたらよかった。シューゲイザーなのだけど歌い方は空気公団とか青葉市子を思い出させるフォークっぽい感じ?でいい。
可ラッカ「すべての夜へ」
上でも触れたアルバム『カンガルーファイル』の曲。こういうフォークを出すまでに進化したのだ!と勝手に受け取っていて、そんな可ラッカ氏の今後が楽しみです。
電気グルーヴ「虹」
大名曲。繰り返す、というテクノの本質をそのまま歌詞にしてテーマにつながっていくのがかっこいい。
アネット(CV:楠木ともり)「Pureness×Careless」
フォロワーさんがツイートしていたスパイ教室のキャラソン。敬語で歌っているキャラソンが好きです。アニソンのクラブに行ったらよく流れていたので「To see the future」も聴いたらけっこう好きだった。
花澤香菜「happy endhings」
どちらかというとfuturefunkになってるほうをたくさん聴いていた。日常の愛おしさという点で昨年触れた「ドラマチックじゃなくっても」と同じ理由で感動している。
Cornelius「てざわりうた(うた 青葉市子)」「やじるしソング(うた やくしまるえつこ)」
デザインあのサントラを聴いてみたらゲストボーカルも豪華なものがたくさんあってびっくりした。どっちもかわいい。
小松成彰「すごくいい感じなの」
フォロワーさんが鴨川でやってたDJイベントにて~離氏が流していて知った。音楽というか詩の朗読なのだけど、ある空気を共有するという点で音楽と同じなのかもしれない。夜の川でみんなで集まってこれを聴いたときの不思議な空気が印象的だった。
お柴鉱脈「mother」
ゆっくり霊夢が喋りはじめたり結構変なんだけど不思議な懐かしさが湧いてくるのがすごくて
Lamp「恋は月の蔭に」
LampのCDをはやく手に入れてずっと聴きたいです
Mealerrand, 重音テト「空ろでいっぱい」
個人的な嗜好としてキャラ萌えみたいなのが分からず、ゆえに重音テト全般の嘘にまつわる曲のエモさには乗れてはいないのだけど、これは「真昼の賃貸」とか歌詞のとぼけた味わいが好き。渋谷系ポップスだと思うのだけど、チープな感じのブラスがいい感じ。
DIALOGUE+「凍てついて秒速」
これを集団で歌いこなせるのかっこいい。
effe, 終末うにこ「祈り」
ep通して聴いてよかった。遠泳音楽というネーミングもあってそういう果てしない何かを感じさせつつ、このトラックは青春の風景を描いている。上述した坂本龍一しかり、こういうアンビエント系のよさを知ったのも今年だった。冥丁もちょっと聴いてみて『夜分』とか好きでした。
in the blue shirt, サンポ(CV:黒沢ともよ)「いつもの街に」
アリムラ氏は2023年に早見沙織「plan」でもアニソン提供をしていたけれど、今年のこちらもかわいくてキャッチ―でよかった。氏っぽさもありつつ、街テーマとカットアップの曲調があっている。
網守将平「偶然の惑星」
同氏はsonacileでエレクトロニカの印象だったけどこちらは口ずさみやすいポップス。しかしなんか変なコ―ド進行で不思議な浮遊感、みたいな……似たものを濁茶氏や原口沙輔氏のボカロにも感じている。
mekakushe, 長瀬有花「さみしい惑星」
mekakusheをちゃんと聴きたい。ふたりの声質がかなり合っている。ゆるいけど芯のある声が日常と非日常のはざまっぽい。
やくしまるえつこ「アンノウン・ワールドマップ - At the End ver.」「ニュームーンに恋して」
やくしまるえつこを全部聴こうとした時期があった。どちらもアニメの主題歌で前者は「バーモント・キッス」みたいなアンビエントみのあるアレンジ、後者はキュートでキラキラしたポップス。どちらも作って歌えるという事実に改めて感動したのだった。
Wavfire「Nebulascape」
ジャンルよくわかんないけどかっけー!という気持ち。
自由ヶ丘、佐々木虚像、ぎゅうたろす「終末通信」
EP『カートリッジ現代』は自由が丘氏がさまざまなゲストボーカルを呼んで作ったアルバム、全曲素晴らしかった。中毒性だとラストのこれで何回も聴いている。タイトル通り人のいないどこかで口ずさむ寂しいメロディみたいで好き。
ユメオチ「悲しみよこんにちは」
10年以上前のポップスバンドの作品。アルバム『これからのこと』は1曲目から全部よかった。アコギとかピアニカとかこういうのですよね、となる。中でもこれはけっこう口ずさみたくなるメロでカバーなのかと思ったけど、同名曲はあってもこれはオリジナルっぽくてすごい。
番外編
サブスク以外。
Cymbals (copy) from 早稲田ロッククライミング
前に最初しか見てなかったのをフルで見た。ボーカルとギターの方はLaura day romanceというバンド(好きです)で現在は活躍しているという背景があり、その大学時代のコピーの映像。ドラムの安定感からしてみんなうまいし盛り上がっていて良い。
sora tob sakana 「広告の街」(cover)
上手いカバー。おそらく本家リスペクトでモノクロなのも含めて良い。
てくくらりん
露悪的な素材選びには触れにくいが、それをまとめた結果、誰かも言ってたけど口ずさみたくなるmadを作るのが本当にうまい。sm43804679(ポンチャック)、sm43983379(マシャマキ)、youtu.be/1fLpVMU0_7g(ぅゅゅ(´;ω;`) / なみぐる feat.可不(KAFU)、ファンコット)も何回も聴きました。最高。2023年かつ人は違うけどyoutu.be/67ygEi_zkC8(どういうコラボ)もヘビロテした。
映像に引かれて曲も何回も聴いた形だけどすごい。音mad作者の1時氏による映像だが、3色の図形を動かすだけでハイテックの質感を出しており、ラストの仕掛けも気持ちが良い。1時氏は大阪であったillegal complexのリリースパーティーにて初DJをしていたが、良い笑顔でバキバキのダブステップやハイテックを流していたのが本当にかっこよかった。真似したい。
Stream ボンゴ by 3級知財管理技能士 | Listen online for free on SoundCloud
kamome sano氏。これをgarageにできるのはやはり氏なんだなあと思う。全曲聴いたわけではないが復活していてうれしい。
カラ松Collective「ミクス2」
さh0「さくらが散りました 伐採」
Stream ミクス2 by カラ松Collective | Listen online for free on SoundCloud
Stream S1E8-さくらが散りました 伐採 by さh0 | Listen online for free on SoundCloud
主にいわゆるJPOP、湘南乃風だったり飲みコールソングだったりそういう価値観をサンプリング・破壊することで明言しにくいが一定の立場を作っている印象があって面白いです。さきほどの「てくくらりん」にも通じる。
J-CORE SLi//CER - My Music Playlist ("偏執狂xxxlolxxxの場合" Bootleg Remix)
xxxlolxxxさんのブレイクコア好きです。かなり過剰なのだけど破綻せず完成されているかっこよさがある……今年でたのだとこれとか「Ryo × xxxlolxxx - 違//egaL 産amplinG 刻/iceR」もよかった。
Buddhist「優波離 (ft. Śūdra2k, महाकस्सप, Pūrṇa Maitrāyanīputra.Man)」
癖になって何回も聴いていた。「宇宙から降った府中の光線銃」すき。
やっぱり書きながら音楽嗜好が保守的になっているという反省が湧いてきていた。自分の好みをぐだぐだ書きなぐってるだけになったので公開するのも迷ったのだけど、今年はなるべく新しいリリースを追えるようにしたい。