nikki_20230810「細田守『サマーウォーズ』(2009)」

 

 

細田守は小学校のときに劇場で「バケモノの子」を観ただけでそれ以来。「竜とそばかすの姫」の脚本についてタイムラインが紛糾していたとき、妹と母が見に行っていて絶賛していたのを覚えている。

 

・聴いたことある台詞や見たことあるシーンがいくつかあったし、いつ鼻血を流して叫ぶのか楽しみだった。知り合いの使っていたラインスタンプのキャラが主人公のアバターだと分かった。

 

・あとで調べて2009年の映画だと知った。作中ほどではないが実際ますますインターネットに私たちの生活は委ねられるようになっているので、OZとかAIについての描写は現在との対比で面白かった。いまだったら草とか書き込まれてるんだろうな

 

・OZのデザイン?がすきだった。標識とか記号、時計が縦横無尽に並んで形を成したり崩れたりするの好き。標識がたくさん出てくるのは化物語を思い出した。なんかいろんな方面から影響を受けてそうな空間で気になる。

 

山下達郎……

 

・カズマの中性的な感じ好きだった。癖な人がおおそう。最初はこの人が重要人物になるのか……という驚きがあった。調べたらスピンオフの主人公になってるらしい。

 

・最初のほうの家の裏で彼女のフリしてってお願いするシーン、画面の画角を二分して光と影になっているの別にそんな斬新ではないんだろうけど印象に残っている(こういうときスクショを貼ればいいのだけどどうやって用意したらいいかわからない)。あと縁側をスライドして写していく演出も好き。

 

侘助の和解、高校野球の進退、主人公と夏希の恋愛、おばあちゃんの顛末、OZの行方、カズマの敗北など複数のストーリーラインが並行するのは好きで、特に最後の決戦と高校野球の試合が対比して描かれるのは好きだった。ひとつの大きな屋敷のなかで家族がそれぞれ別々にいろんなことをしていて、同時刻の部屋のカットが次々と写される演出が頻繁にある。それと同じように、いろんな要素が詰まっていて並行して話は進む。そういう意味ではなんでもやる王道エンタメ感がある。

 

・最後の花札バトルはウケてしまった。そもそも花札を全然しらないので知らん単語を必死に叫んでるのが面白いし、そんなポピュラーでもないのに世界中が叫んでいたのも面白い。主であるクジラが味方に着いたのもよく分からないし、ゴリゴリのプリキュア風変身シーンが唐突に来たのも笑った。別のシーンだけどおばあちゃんが薙刀やるのも唐突でちょっと笑った。

 

・いまは個人の時代というか、わりと家族の団結みたいなストーリーに触れることが少ない。これは本当に「家族の絆」を真正面からやっていて新鮮だった。とっちらかっていた家族がおばあちゃんの遺言だけで打って変わって団結しだすのも面食らってしまい、本当におばあちゃんに全てが委ねられていて、なんというか依存し過ぎでは……みたいな気持ちになっていた。遺言をこれでもかと守り、滅亡の前でもご飯を食べるのはすごい。このおばあちゃん依存とオズに依存した世界にアナロジーを感じたけどよく分からなかった。

 

・結局は一家がおばあちゃんの遺言を起点として団結→それが世界に広がるわけで、そこからはもう勢いで進んでいってすごい。終わったと思ったら終わってないが何回もある。最後に温泉が吹き出して野球の優勝ニュースが流れるシーンなんかめちゃくちゃすぎて爆笑した。なんか温泉旅館でも開くのかと思ったら普通に葬式の間も噴き出しっぱなしだし、、

 

侘助さんは悪くないだろというのは人工知能云々が叫ばれているいまだからこそ共感していたが、結局裏の首謀者が誰だったのかも一瞬のカットで終わってしまった。結局主人公とヒロインがキスをして終わる。人の葬式でキスするのかいと思ったけど、その大団円感でなんとかなってる感じがする。脚本の雑さは耳にしてきたのでバイアスはあると思うけど……。

 

・インターネットと田舎の一族というかけ離れたものを組み合わせること、最後のとっちらかった感じなどトンデモSF感はあった。傍から考えると馬鹿馬鹿しいようなものを真面目にやることに私は感動する、というのはこの数年ずっと感じていて、これもそういう突飛なイメージを実現しているものだとは思う。でも中途半端に辻褄を合わせるような感じになっている終盤には乗り切れなかった、もうちょっと振り切ってもよかったかなというのが感想になるかなー 帰省前に見ることができたのはよかったです。