nikki_20230130「小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』」

 

 

1だけ読んだので感想。百合ハードSFだった。

 

百合小説ってどう書くのかは知らないけど、こういうカップリング・シーン・絡みが見たいというところから組み立てて書く、という方法もあると思う。この小説は特に百合をやるからな!という気概を感じるので、まず書きたい百合の像から組み立てたのではと推測する。そもそも百合アンソロに収録された話なので……。詳しくはないのだけど関係性としてはバディもの、いわゆるケンカップルとかツンデレに分類できるのかもしれない。最後のほうの喧嘩しながら愛を告白する、みたいなやりとりはベタながらニヤニヤしてしまうし、これが書きたかったんだろうなという納得感がある。

 

ただその関係性を実現するために組み立てられた世界観がしっかりしていてすごい。小川一水氏は『天冥の標』(未読)などハードSFを書くことは存じていたのだけど、この百合カップルを成立させるための世界の道具立て(宇宙に魚が泳いでいること、漁をして生活しなければならないに至った理由、漁のやり方、建物や社会の構造など)に対する熱量がとんでもなくてビビってしまった。あるいはこれくらいが氏の普通なのならば技量がすごい。ハードSFなので設定とか機械・建物の構造はぜんぶ自分で想像するしかないのが大変だった。雰囲気で読んだ。これは単に僕のSF筋がよわいだけだと思う。みんなこういうの読むときって全部脳内で補完してるんですか?

 

構図として露骨に男vs女みたいな構図になっているのは気になるところではあった。女性は主人公たちになんだかんだ味方してくれるのだけど、出てくる男性はことごとく因習に縛られて頭が硬い人たちで、ヒール然としすぎている気もする。それが現実でもあるよということを言いたいのかもしれませんが……。2巻ではちょっと変わってくるのかもしれないのでまた読みます。