nikki_20221115「無題」

 

4日も日記をためていた。2日(土日)は学園祭に行っていて、残りの2日(月火)はうっすら体調がわるいまま過ごしていたのが原因である。特に昨晩は頭痛と吐き気がしたのだけど、起きると普通になっていた。こういう日は年に何回かある。そのまま午前を過ごし、午後から自動車学校でキャンセル待ちなどをして今に至る。久しぶりに正常なリズムで過ごせているし、朝に起きて夜に寝るとしたいことができると実感している。4日連続して書いたのでありきたりなことしか書けない。さようなら。

 

nikki_20221114「星野源『エピソード』について」

 

これを書いている今日11月16日に紅白の出演者が発表され、そのなかで星野源の8回目の出場が決定していた。だからというわけでもない、きのうの日記でミスチルについて話したので次は星野源かなということで書く。彼に関しては好きな曲というよりアルバム単位でこれが好き!と話したほうがいい気がするので、そうする。

 

前に好きなアルバムについて書いたのはパスピエだった。

 

日記_2021/12/9「パスピエ『演出家出演』について」|遺失物届|note

 

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この「エピソード」は中学のときに聴いた。こう言うのもなんだけど地味なアルバムであり、万人受けするわけでもない気がする。実際、当時これを聴いた僕は即座に好きだと直感したわけでもなかった。おそらく、せっかく買ったし……と何回も繰り返し聴いて最近やっと好きになれたような、そんなアルバムだと思う。

 

万人受けするわけでもない、とした理由として陰鬱な歌詞が多いというのがある。しかしそこで描かれていく様々な「エピソード」の光景が重なることで、生きていくそのままを描き出しているようである。僕が群像劇が好きだったり、人々の生活の営み、必死に生きていく様子が重なって社会や世界を織りなす美しさに萌えているところはたぶんこのアルバムからきている。1曲ずつ書いてみる。

 

エピソード…アニメ1本を見るときの歌らしい。思いを馳せてるんだろうな~みたいな間奏すき

 

湯気…生活の中の湯気という存在から死や悲しみを想起させる感覚、この前のアルバムである「ばかのうた」に通ずるものがある。

 

変わらないまま…「さらば人気者の群れよ 僕は一人で行く」とかいう陰の雰囲気全開の歌いだしすき。わりと自分と重ねていたかもしれない。「耳を塞いだ音楽と 本の中で暮らす」というのは今の自分と変わってないのかもしれない。

 

くだらないの中に…先にシングルでリリースされていた曲。変態の歌らしい。「くだらないの中に愛が 人は笑うように生きる」っていいですね。くだらないことを一生懸命にやっている人は好きで(だからこそ音madとかのなぜベストを尽くしたみたいなのが好き)、それもここから来ているかもしれない。

 

布団…夫婦の歌? 歌いだしの布団の外が冷えている感じがいい。

 

バイト…数えきれないくらい歌ったかもしれない。なんといったらいいのか分からないやりきれなさのある歌詞

 

営業…保険会社?の営業の歌。どこもそうかもしれないが、自分の家でもそういう営業が来たりしたら「またか……」みたいに居留守していた。僕もそのせいで悪いイメージがあったのだけど歌では訪れる側から描いているわけで、そういう他者に代入する想像力みたいなものを学んでいたかもしれない。これも割れ切れない重さがある。

 

ステップ…ちょっと明るい曲きたか?と思ったら墓参りの歌なのすごすぎる。死別した人への悲しみをそのまま悲しく歌ったり、前を向いて明るく歌ったものはわりと多い。ここでは墓参り自体を明るく歌うことで、そのままの雰囲気を写し取れている気がするな。「世界はいらないな」って歌詞いい。

 

未来…夕暮れの風呂場の感じとか、ふいに自転車のスタンドを蹴り上げる瞬間ってこんな感じだな~と思う。曲のイメージが後付けされている説もある。希望に満ち溢れているというわけでもない、小さな希望の種としての未来のイメージ

 

喧嘩…8分の6拍子。前の「老夫婦」あたりとつながりがあるみたいに本人が述べていたと思う。「他人なの いつまでたっても」は家族の本質的な部分な気がする。

 

ストーブ…ここでさらにお葬式の曲なのだけど、「通夜で寝てた馬鹿も声を上げるよ」みたいなディティールがいい。死体と対峙して棺桶ごと燃やすまでという暗い場面がアコースティックな音につつまれて歌われる、そのなんともなさがいい。「君のいれものに/またね さようなら」で終わる歌詞、いいですね

 

日常…「誰かそこで必ず聴いているさ/君の笑い声を」あたりの歌詞に何度も勇気づけられた気がする。すごい励ますわけでもないし、なんというか少しずつ進んでいくささやかな日常そのものの在り方を肯定してくれるような素晴らしさがあるなあ youtubeで公式からフルで聴けるので、アルバムを買うまではそれをウォークマンに録音して聴いていた思い出

 

予想…死後の世界の曲で締めるのがよい。心なしかいままでより前向きなようにも思える。死んでるけど。

 

こうして全曲を描いてみると、後半は名詞のタイトルばかりだなと気づいた。あと、どの曲も何かを肯定するでも否定するでもないようなものばかりで、こうなんと言えばいいのか分からないアルバムだなというのに尽きることが分かった。精神状態によって受容の仕方も変わるだろうし、それがそのままこの世界の在り方と重なるようでもある。「エピソード」、筆舌に尽くしがたいアルバムだと思う。

 

 

 

nikki_20221113「Mr.Childrenの好きな曲を書いてみる」

 

Mr.Childrenのすきな曲について書く。家族の影響で小学校高学年のころ顕著に聴いていた。両親がTSUTAYAでレンタルしたアルバムをパソコンやCDに移して車で流したりしていたのだけど、容量の問題でアルバムオリジナル曲は削除したりしていたので知らない曲はかなり多い。ゆえに有名曲ばかりにはなるけど、好きな曲は本当に何度も聴いていた。


星になれたら

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いいですね。上京などというのは程遠い頃ではあったけど、こういう感情なのかなと思いを馳せていた。高揚感と不安のない交ぜになったような、列車が動き出すような疾走感がある。2番の「何かに つまづいた時は/空に手をかざしてみよう/この風は きっとどこかで君と/つながっているから」という歌詞が好きで、小学校を卒業するあたりで身に染みていた気がする。

 

君が好き

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幼いながらこういう夜の雰囲気を音楽で出せるのすごいなと感慨にふけっていた記憶。Cメロあとの間奏で流れるメロディーが最高で、半音で上がるところであ~気持ちいい~となる。同じアルバムの「蘇生」「one two three」「youthful days」「いつでも微笑みを」「優しい歌」あたりも好きです。

 

くるみ

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未来という存在を「くるみ」という人間に仮託している歌詞らしい。温かい曲調でありながら、清濁併せ吞んだ歌詞なのがいい。「誰かの優しさが皮肉に聞こえてしまう」「希望の数だけ失望は増える」などの歌詞、印象深いですね。半音で下降していく進行で「とはいえ暮らしの中で~」と歌うところも胸が締め付けられる感じがしていい。同じアルバムで「花言葉」とかも好きでした。

 

通り雨

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通り雨ってわりとネガティブなモチーフからポジティブな曲がでてくるのすき。曲の時間経過と雨が過ぎていく様子がリンクしているようで、Cメロの「雨上がりの街にある特有の匂い」「何かをリセットしたような気配」は転調?も伴ってよく分かる。そこからサビに戻ったアウトロもまた得も言われぬ雨上がりの雰囲気を出していると思う。すき。同じアルバムの「箒星」も本当に好きです。

 

Another Story

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同じアルバムから。ストーリーがあり、不安を抱えながら夜のバスが走っていく感じがいい。こみ上げる葛藤を描写するように絶妙なタイミングで入って来るサックスソロも素晴らしい。曲の最後にピアノがポロン、と鳴るのもなんというか二人の姿が見えてくるようでいい。「箒星」も本当に好きです。

 

水上バス

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ここまで春の光が満ちた雰囲気をそのまま写し取った曲ある!?という名曲だと思っています。「ぼんやりした幸せが満ちてく」って歌詞いい。同アルバム収録の「東京」も幼心ながら好きだった。

 

I'm talking about Lovin'

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スイングしたリズムの曲が好きなので…というかスイングしたリズムが好きになった一要因の曲かもしれない。冒険心がくすぐられるような歌詞と音がいい。同じアルバムで「擬態」「ロックンロールは生きている」「蒼」「fanfare」「Prelude」も好きです。

 

終わりなき旅

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人生のオールタイムベストだと10位もしくは5位に食い込むかもしれない名曲。受験とか吹奏楽の大会とか、そういう何か大きな節目の前には必ず聴くようにしてきたルーティンの曲でもある。どの歌詞がいいとかではなくもう全部がパンチラインだし、7分あるだけの重み、延々と続いていくアウトロが自分の足取りになっていくようなよさがある。

 

名もなき詩、口笛、HANABI、エソラ、innocent world、Sign、旅立ちの唄などなどあまりにも有名な曲は意識して外した節があるけど、その外した曲もどれも本当に好きです。音楽はだいたい5分で終わるものだと思っていたこと(ゆえに最近の曲はとても短く感じる)、ポップスが好きなことの一因はミスチルから来ているだろうと書きながら思った。こういうメッセージ性の強い歌詞は逆にいまは謙遜しがちで、ともすれば痛さや青さすら感じるようになってしまった。けれどもこうしてたまに聴くと本当によいし、人生の一時期を彩っていた曲だなとしみじみする。

 

nikki_20221112「振り返り」

 

 

マシュマロが来ていたので答えます。

 

振り返ろうと思うときはあります。過去の日記を気まぐれによみ返してみたり、昔読んだ本の話題をインターネットで見かけて、これ自分はどういう感想を書いていたかな~と見返すなどです。かなり頻繁に、日常の行為のようにしてやっているので「思い」みたいなものは語りにくいですね。質問した方のニュアンス的にはあまりしないことのように感じられるので、僕の「振り返る」という行為と質問者の方の中での「振り返る」がずれた回答になっていたら申し訳ないです。

 

確かに前の日記を見返すのに「振り返る」という壮大な感じはしないです。それはまだ続けて2年ほどしか経過していないこともあるでしょうし、あとは読み返すモチベーションも関係してそうです。先ほど「『思い』が語りにくい」と書いたのに反するかもしれませんが、書くとするならその『思い』は自己肯定感を高めたいと思ったときに生まれてくるというのが回答だと思います。これは自分で気に入っているなとか、この日記は個人的に尊敬している人から反応があったなとか、そういう日の日記を読み返すことが大半です。ゆえに振り返って切なくなるという感覚はなく、それが「振り返る」感じをなくしている一因かもしれません。

 

もちろん1年前はこうだったなあという感傷にひたるために読み返すこともあります。わりと過去の方では個人的な出来事を細かく書いていたりもするので、そのときの心理状態とかを回顧するのもあります。

 

文体に懐かしさを感じることもありますね。それは懐かしさというより痛さのほうが強いです。『人生は「ちょっと前の自分キモすぎ」の繰り返し』という文言が過去にTwitterでバズっていて、わりとそうだなと心に留めているんですが、過去の日記は読むに堪えない部分もたくさんあります。というか大半がそう。でもそれも含めて日記をやる醍醐味なんでしょうね……。過去の日記は行間を詰めたり、段落の一字下げをしていたり(これは個人的に読みにくいのでいまは辞めている)、読みにくいので全部治したい気持ちがめちゃくちゃある。関係ない話になってしまいましたが、質問ありがとうございました。

 

nikki_20221111『性癖』


ポッキーだったりお箸だったりサッカーだったりする日だった。起きたら予定が終わっていて、自らに失望したまま二駅先くらいまで歩いてスーパーで牛乳ともやしを買った。寝る時間が不規則で、起きたら肩がすごい痛かったりしている。朝方に何ご飯か分からないけど、200gのパスタでぺぺたま(ペペロンチーノ+たまごのパスタ)を作って野菜ジュースと食べたのでずっとくらくらしていた。パスタと野菜ジュースってやりがちな食事なのだけど、炭水化物パンチで脳がふわふわするのでよくない。

 

その気になると一日1冊漫画を読むくらいはできてしまうな、と思う。そうして毎日日記で感想を書けばいいのかもしれないが、それ以外の話もしたいし適度にまとめられたらよい。

 

自分の性癖について書いてみる。下品な話になる。たぶん多く話せるのはTSFだろう。細かい説明は下に任せるとして、簡単に述べるならば性別が変わるタイプの作品である。私の場合は男性が女性になるものである。

 

dic.nicovideo.jp

 

 

以前にTwitterで見かけたTSFの分類図が面白かったので、それに基づいて自分の性癖を説明する。4つのタイプに分けられている。まず「享楽」だが、これは自らが女性になってその肉体や立場を味わうというものである。設定としては何らかの科学的な実験で女性になったり、あるいは君の名は。のような入れ替わりだったり、自分の魂を憑依させて身体を乗っ取ったり、わりとどのような設定でも可能かもしれない。「被虐」は「享楽」が受動的になったものだろう。強制的に性別を変えさせられて、その肉体や立場を味わうこととなる。このジャンルはあまり見たことがないのでどのような設定があるか分からない。とにかく強制的にやらされるところに妙味があるのだと思う。「支配」になるとまた変わる。自分が女性になるというより、他の女性を操ることになる。ゆえに自分が実験などでそのまま性転換して女性になるというより、既にいる女性を乗っ取るということが大切になる。女性に憑依したり、あるいは女性のコピーみたいなものを作って自分がそれになる、女性の皮を被ってなり替わる、などがあると思う。「雌化」は「被虐」を第三者視点で見ているものだろうか。強いられている他者が女性の肉体や言動に馴染んでいく様を見るというものである。「メス堕ち」などというのもおそらくこれに該当する。

 

では自分はどれが好きなのか、と言われると「享楽」だろう。そして、そこにおいて他者との行為はあまり求めていない。ただひとりで完結していたい。あとは完全に自分であることを手放してしまうのも好きではない。つまり「メス堕ち」は嫌である。さらに他者を乗っ取ったり、欺くのもなんとなく申し訳なくて嫌である。この「自分を手放したくない」「他人に迷惑をかけたくない」というのは、「可哀想なのは抜けない」という定番のテーゼが自分の中にあるからだろう。

 

ここから導き出されるのは「自分が性転換し、誰にも見られずにひとりで享楽に浸る」というシチュエーションである。ただこのような作品を見たことは一度もない。大抵は他者との行為に持ち込まれてしまうからだ。一番理にかなっているのは主観視点かつ一人で完結している作品である。AVでも二次元でもどちらもあるのだけど、まだまだ数は少ないので増えてほしいと思っている。ちなみに、もちろんTSF以外も好きである。でもそのときも女性一人で完結しているものを極端に好む傾向がある。

 

なぜこれが好きなのか考えてみるとわりと自分の中の経験などが浮上してくるのだけど、書くと長くなるのでやめる。ただ、ドラえもん第42巻の「男女入れかえ物語」が影響していることは間違いない。

 

nikki_20221110「漫画数冊」

 

直近で読んだ漫画について。短めのものが好きですがいつでもおすすめを募集しております。

 

 

panpanya『足摺り水族館』

 

初期ということもあり絵柄がブレブレな印象でよい。今後も出てくるであろうレオナルド(犬であることをはじめて知った)などおなじみのキャラがいるし、短編の為だけのオリジナルキャラクターもいたりする。これをコミティアで買ってみたかった。これであと「おむすびの転がる町」「模型の町」を読むとpanpanya作品はすべて読了してしまうので少し寂しい。「マシン時代の動物たち」、「君の魚」、「エンディングテーマ」好き。

 

 

 

 

毛塚了一郎『音盤紀行』

 

漫画誌青騎士』でデビューした筆者による初単行本であり、レコードをめぐる年代や国も異なる人々の物語がおさめられた短編集。

 

音楽が個人の生活の隙間に浸透していく感じがたまらなく好きだ。誰かの作った歌が見ず知らずの誰かに届く。1回再生されただけで終わったとしても、その音楽が流れた時間は確実に誰か人生の一部を占めている。それは通勤する電車のなかかもしれないし、眠れない夜かもしれないし、喫茶店でメニューを待つ間かもしれない。そうして誰かの生活が蓄積されていく、その隙間に音楽が蓄積して歴史を重ねていく。または思いもがけないところでその音楽が誰かを繋ぐこともある。私の好きなアルバムとして星野源「エピソード」、さよならポニーテール「魔法のメロディ」があるが、それが好きな理由、あるいは影響を受けて上に述べた価値観が醸成されたのかもしれない。

 

かくいう私自身も音楽を作って発信することがある。だから自分の作品を誰かが聴いているという事実はとてもうれしい。SNSが普及した今ではそのような現象も珍しくはないのだろうけど、それがなかった時代は音楽が人を繋ぐことはもっと奇跡的だったのだろう。この漫画はそのまま上に述べた本当に好きな現象を描いていたので、読んでいて少しだけ涙を流してしまった。

 

いままで読んだ漫画のなかでも上位に入るだろう。レコード店の見取り図やジャケットの絵まで細かく描いているところに愛を感じたし、各短篇がちょっとだけゆるやかに繋がっているところなど個人的なフェチを刺激された。「追想レコード」、「密盤屋の夜」、「電信航路に舵を取れ!」あたりが好き。おすすめです。

 

 

 

 

九井諒子『ひきだしにテラリウム』

 

ダンジョン飯』(未読)の筆者によるショートショート集。「パラドックス殺人事件」、「えぐちみ代このスットコ訪問記 トーワ国編」、「パーフェクト・コミュニケーション」あたり好きでした。ダンジョン飯はファンタジーものだと耳にしたことがあるが、このショートショートも小さなとっかかりから想像して世界を広げていくような話がいくつか見られて得意なんだろうなと思う(「遠き理想郷」など)。しかしファンタジーには寄らず、SFやコメディもあって満足だった。各話の要素が大集合した表紙もとてもよい。ショートショートはワンアイデアをいかにうまく決めるかだなあと実感

 

 

 

 

こかむも『ぬるめた』

 

こかむも氏によるきらら4コマ。オタクの語彙が多用された密度の高い読むきらら4コマという感じだった。ふわふわしているようだけど、オタク衒学というか細かい作家名とか作品名っぽいネタが多用されるのも印象的。ジョン・ディクスン・カーの名前がちょっとだけ出たりする。2巻のアニメをおすすめされて見ずにエッチな絵だけ保存するディティールとか解ってしまうのでよい。

 

2巻のLINEのチャットをそのまま漫画として使う回は前にTwitterでちょっと話題になっていた気がする。これはオタク語彙と文字を読ませる4コマという持ち味が演出と一体となっているアイデアで感心した。ただタイトルのぬるめたって何だよとはずっと思っている。

 

こかむも氏がtumblrに投稿されている文章はゲームの感想などがあり、いろいろ考えている人なのだろうと伺える。

 

kokakimumose.tumblr.com

 

nikki_20221109「枡野浩一『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』/安井高志『サトゥルヌス菓子店』」

 

直近で読んだふたつの歌集について。

 

枡野浩一『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』

 


小学校のとき『ドラえもん短歌』を読んだことがあった。有名な方なのでそのときから存じていたし、いわゆる「短歌ブーム」の中で誰かに引用されていたりで何度も名前を見ていた方。難しい修辞や暗喩もなく、キャッチコピーのように分かりやすい歌が並ぶ。分かりやすいからといってポジティブではなく、ストレートに負の感情を詠んだものもある。私はどちらかといえばこのような歌は好みではないのだけど、現状ではかえってこのような率直な歌を見かける機会も少ない気がして楽しく読んだ。

 

収録された往復書簡で俵万智氏が「枡野さんは連作向きではなく一首勝負の歌人」と評し、歌について「作者名がどうでもいい、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、すでに読者のものという顔つきなのです。」とも評していてなるほどと思った。

 

「じゃあまた」と笑顔で別れ五秒後に真顔に戻るための筋肉

 

それを見る僕のたましいの形はどうせ祈りに似ていただろう

 

新人賞選考会の議事録の話し言葉の美しくなさ

 

しなくてはならないことの一覧をつくっただけで終わる休日

 

本人が読む場所に書く陰口はその本人に甘えた言葉

 

今ここにタイムマシンがあったって乗り遅れたりする私です

 

 

 

 

安井高志『サトゥルヌス菓子店』

 

 

31歳で急逝した詩人の歌集。身近な単語の組み合わせで描かれた幻想的な絵本のような歌集だった。聖書っぽさというか、静謐な印象がある。「ソーダ」という単語が頻出する気がする。もともとほかの人のブログで紹介されていて引かれていた歌が好きだったので読んだのだけど、よかった。

 

うしなわれた水平線へ夜は果て桃は剥かれたソーダ水のアリア

 

錠剤の飛び散る夜は心臓のためにささげるフォンダンショコラ

 

月曜はわたしをきらいな先生がうさぎ殺しの罪をあばく日

 

初夏のシトロンソーダを振り撒けば風にたなびく真っ白なシャツ

 

雨の中の廃都かすれた歌声ですがりつづける標本少女

 

廃棄所のブラウン管の画面から、しろく、しろく、しろく薄雪

 

きみのための深夜放送こわいのはわたしがみんな食べてあげるね